産経抄
2015年5月、すし詰め状態の密航船が、マレーシアやインドネシア沖の海上で相次いで見つかった。乗っていたのは、ミャンマーのイスラム教少数民族、ロヒンギャ族である。・・・(音読:鈴木春花)
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昨日は織田信長と明智光秀について書いた。本日は豊臣秀吉の登場である。秀吉は、敵方の城への兵糧攻めを得意としていた。食糧の補給路を断ち、敵の士気を奪って城を落とす。天正9(1581)年6月には、山陰の鳥取城を包囲した。・・・(音読:五十嵐裕美)
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筆まめだった夏目漱石は、生涯で2500余通もの手紙を残した。古書店主でもあった作家の出久根達郎さんは、そのうち2通を仕入れたことがある。ともに巻紙に墨の達筆、封筒つき、消印から人気の高い晩年の手とわかった。・・・(音読:峰田雅葉)
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日曜の朝、起き抜けに東京新聞を開いたら、長文の社説の見出しが目に留まった。「桐生悠々と…」。日本人で初めて100メートルの「10秒の壁」を突破した桐生祥秀(よしひで)選手のことかと、寝ぼけ頭は勘違いをしてしまった。・・・(音読:塚本美也子)
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世の中の電源が一斉に落ちたらどうなるか。「スマホでググる」ができないのは諦めがつくとして、電話自体がつながらない。電子マネーが使えない不便には目をつむるとして、現金を引き出すATMが動かない。・・・(音読:鈴木春花)
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「日本は非核三原則ではなく五原則だ」。第1次安倍晋三政権時代の平成18年の晩秋、自民党の中川昭一政調会長は苦笑していた。核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」に加え、実は「言わせず、考えさせず」もある日本の現状、核アレルギーの根強さについてである。・・・(音読:峰田雅葉)
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「肉食」といえば、近頃は別の意味で使われるようだが、黒澤明監督は肉が大好物だった。朝から最高級のステーキをペロリと平らげる。月に100万円以上も肉代がかかり、税務署から「お宅はレストランをやってるんですか」ときかれたほどである。俳優の土屋嘉男(よしお)さんも、ずいぶん相伴にあずかった。・・・(音読:塚本美也子)
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なぜ、民進党は支持を得られないのか。月刊誌「中央公論」8月号で、所属議員たちが緊急討論を行っている。玄葉光一郎衆院議員によれば、北朝鮮のやまない挑発行動と高い株価、メディアコントロールの3つが、安倍政権に有利に働いているという。・・・(音読:鈴木春花)
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スイスといえば、日本人にとって好感度の高い国である。アルプスの美しい風景に恵まれ、しかも永世中立国、とにかくイメージがいい。両国の間で修好通商条約が結ばれたのは、幕末の1864年である。・・・(音読:峰田雅葉)
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英国中部の町レスターの警察幹部は、途方にくれていた。強姦(ごうかん)殺人事件の容疑者として、17歳の少年を逮捕した。少年は犯行を認めたものの、供述に矛盾が多すぎる。・・・(音読:五十嵐裕美)
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「起こるべきことは必ず起こる」。1954年公開の映画「裸足(はだし)の伯爵夫人」のなかで、450年続いた伯爵家の家訓として語られるセリフである。裸足の踊り子マリアと運命的な出会いをする伯爵には、秘密があった。戦争で負傷し、性的不能に陥っていた。・・・(音読:塚本美也子)
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人と人の関係には足し算型と掛け算型がある。先月永眠した気象エッセイストの倉嶋厚さんが自著にそう書き留めていた。妻の泰子さんとは「1×1」の掛け算型夫婦だったという。自立した2人が暮らす「1+1」ではなく一心同体だった、と。・・・(音読:鈴木春花)
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連合国軍総司令部(GHQ)が70年以上前、わずか1週間で草案をつくった現行憲法の弊害は数多い。中でも「平和を愛する諸国民の公正と信義」という虚構をうたう前文は、日本人に「平和ボケ」という深刻な病をもたらした。症状の特徴は、一時的に快方に向かってもすぐぶり返すことである。・・・(音読:塚本美也子)
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静岡県浜松市の練兵場で大正6年、「米国の鳥人」と呼ばれた飛行家、アート・スミスによる曲芸飛行大会が開かれた。10歳の少年は、親の目を盗んで金2銭を握りしめ、自転車で二十数キロ離れた会場に駆けつけた。初めて見る飛行機に大感激である。・・・(音読:峰田雅葉)
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ダイアナ元皇太子妃といえば、英国民にとってアイドルのような存在だった。パリで事故死という衝撃的なニュースをロンドンの支局で受け取った。翌日の現地の新聞は、元妃の住まいだったケンジントン宮殿の入り口が「花の海」になっていると報じていた。・・・(音読:佐藤友紀)
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最初の一太刀で相手を倒す。すべてにおいて先をとって、相手を斬り殺す。これこそ、戦国時代の剣豪、伊藤一刀斎が創始した一刀流の極意である。ただ、時代が下るにつれて、一刀流の技も変わっていく。・・・(音読:鈴木春花)
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八代目林家正蔵(彦六)師匠は、極端なまでにお金に淡泊かつ潔癖な人だった。たまたま同じ日に複数の仕事が来れば、一番ギャラの安いところへ出かける。高いところは、自分が行かなくても誰かが行ける、という理屈である。・・・(音読:塚本美也子)
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「伊58潜水艦」は昭和20年7月、人間魚雷・回天と特攻隊員を乗せて、山口県の平生(ひらお)基地を出航した。29日の深夜、大型艦船の艦影を発見する。6発の魚雷を発射して3発が命中した。・・・(音読:佐藤友紀)
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すべての病人には死神(しにがみ)がついている、という。枕元にいるのはあの世からのお迎えで、手出しはタブー。足元にいれば一時の病で、追い払ってよい。「アジャラカモクレン…テケレッツのパ」。こう唱えて柏手(かしわで)を打て-とは落語『死神』である。・・・(音読:峰田雅葉)
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「いま、社内は安倍(晋三首相)を叩(たた)くためなら、どんなことでもするという空気になっている」。作家の門田隆将さんは最近、知り合いの毎日新聞記者からこう聞いたと、26日発売の月刊誌『Hanada』(10月号)で明かしている。朝日新聞記者にも同様のことを言われたという。・・・(音読:鈴木春花)
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岐阜県瑞浪市の中央自動車道で先週起きた土砂崩れは、人災である。現場近くの窯業原料製造会社は、長年、道路脇の斜面に産業廃棄物を野積みしていた。それが白い汚泥となって道路に押し寄せ、車4台を巻き込み6人に重軽傷を負わせた。・・・(音読:峰田雅葉)
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「クー・クラックス・クラン(KKK)」といえば、三角にとがった目出し帽にローブの白装束がまず思い浮かぶ。南北戦争直後の19世紀半ば、米国南部で生まれた白人至上主義の秘密結社である。奴隷から解放されたばかりの黒人男女を襲い、むち打ち、吊(つ)るし首など残虐の限りをつくした。・・・(音読:鈴木春花)
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その日南米アルゼンチンの空港では、フライトの遅延や欠航が相次いでいた。足止めをくらった乗客のいらだちが頂点に達したころである。黒ずくめの衣装にサングラス姿の女性が、突然歌い始めた。「正体」は、その場に居合わせた米国の人気歌手、シンディ・ローパーさんである。乗客はローパーさんを囲み、大合唱が始まった。・・・(音読:塚本美也子)
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亡命先の米国で5年前、76歳で亡くなった中国の天体物理学者、方励之氏は、反体制知識人のシンボル的存在だった。1989年の天安門事件直後に北京の米国大使館に駆け込み、1年後に英国への出国が認められる。・・・(音読:佐藤友紀)
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スペイン第2の都市、バルセロナの繁栄の基礎を作ったのは、13世紀にこの地を治めたジャウメ1世である。市域を一挙に拡大し、新たな市壁を築いた。壁沿いには、周辺農家の人たちが農産物を売りにきて、市場が自然発生していた。・・・(音読:峰田雅葉)
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その昔、佐賀の人が長崎・対馬に渡った夜の体験談である。宿舎近くで大人数の足音が絶えず聞こえる。亭主に尋ねると「河童(かっぱ)」だという。昼は山におり、夜は海へ出て食料を求めるだけだ、「別に害はせぬ」と。・・・(音読:塚本美也子)
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日本の朝鮮半島統治時代の徴用工に絡む請求権について、韓国の文在寅大統領は17日、「個人の権利は残っている」と述べた。1965年の日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決済み」の話であるにもかかわらずである。15日には徴用工などに関し、北朝鮮との共同被害実態調査にも言及している。・・・(音読:峰田雅葉)
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東京都世田谷区の住宅街にある日本基督教団駒場エデン教会は、古武道の道場も兼ねている。今月15日に84歳で亡くなった笹森建美(たけみ)さんは、牧師にして「小野派一刀流」第17代宗家でもあった。・・・(音読:塚本美也子)
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東北地方の農家は昔から「ヤマセ」に苦しめられてきた。夏にオホーツク海高気圧から吹き出してくる、冷たくて湿った風である。山を越えて吹く風、「山背」が語源とされるが、異論もある。低温と日照不足をもたらし、冷害の原因となる。・・・(音読:佐藤友紀)
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北朝鮮の暴発をいかに抑えるか。緊迫した情勢をよそに、韓国は一体何をやっているのか。14日からソウル市内では、プラスチック製の慰安婦像を乗せた路線バスの運行が始まった。・・・(音読:峰田雅葉)
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俳句は類似句との闘い、といわれる。わずか17文字の短詩ゆえに、そっくりの作品が先行している可能性は常にある。千葉市の元法務省職員、小林良作さんも同じ問題に直面した。「八月の六日九日十五日」。平成26年に所属する俳句結社に投稿した作品である。・・・(音読:塚本美也子)
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ナチス・ドイツが第二次大戦中にポーランド南部に造ったアウシュビッツ強制収容所は今、博物館になっている。数百人を一度に処刑したガス室や死体の焼却炉、死者の頭髪で作られた毛布…。・・・(音読:鈴木春花)
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何年前だったか。辛口のプロ野球評論で鳴らす豊田泰光さんが、「8月15日」に寄せてコラムを書いていた。豊田さんが西鉄入りした昭和28年は、戦争の影がまだ残っていたらしい。応召し、戦地に赴き、復員した一世代上の選手が各球団にいた。・・・(音読:佐藤友紀)
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もし2年前の9月に、集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法が成立していなかったらと考えると、盛夏であるのに寒気立つ。北朝鮮が米領グアム周辺への中距離弾道ミサイル発射計画を公表し、ミサイルの日本上空通過も予告した件である。危機は目の前に迫っている。・・・(音読:峰田雅葉)
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中世史家の藤木久志さんの著書『戦国の作法』で、「言葉戦い」という語を知った。源平合戦の時代、実際の戦闘に先立ち、双方が口汚く罵(ののし)り合うのが習わしだった。たとえば『平家物語』は、源氏が平氏から瀬戸内海の制海権を奪った「屋島の戦い」をこう伝えている。・・・(音読:塚本美也子)
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東京都心の首都高速道路は本日、大渋滞が予想される。お盆前でトラックの数が増える上、早めに休みを取った人たちの車が流れ込むからだ。・・・(音読:佐藤友紀)
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歌人の石川啄木は、26年間の短い人生のなかで、何度も友人知人から借金して踏み倒している。借金の総額は、今の貨幣価値で2千万円にものぼるそうだ。その啄木は、「憲政の神様」と称され、金権政治とも無縁だった尾崎行雄を敬愛してやまなかった。・・・(音読:峰田雅葉)
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昨日に続いて、夏休みの話である。民俗学者の柳田国男は明治30年、大学2年の夏休みを愛知県の渥美半島で過ごしている。伊良湖岬の浜を散歩していると、流れ着いたヤシの実を見つけた。・・・(音読:塚本美也子)
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トランプ米大統領が、17日間の夏休みに入った。かつてオバマ前大統領が10日間の夏休みを取った際、散々批判したことをすっかり忘れているようだ。たとえば、このニュースをコラムのネタにしたとする。・・・(音読:鈴木春花)
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往年の名スプリンター吉岡隆徳はただ一度、「駆け足」を悔いたことがある。広島高等師範学校の教授時代という。学生を連れて郊外の工廠(こうしょう)に詰めていた朝、原爆は落とされた。市内に残す家族のもとへ、酸鼻を極めた地獄絵図の中を吉岡は走る。・・・(音読:佐藤友紀)
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4日付の小紙朝刊は、日本海の国際呼称について、韓国が求める「東海」への表記変更が増加している問題を報じていた。外務省の調査によると、日本海の単独呼称を支持する国は約58%にとどまったという。慰安婦問題でも徴用工問題でも、韓国のなりふり構わぬ宣伝攻勢に、有効な対抗策を打てない日本外交の現状を憂う。・・・(音読:鈴木春花)
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立候補者はロボットではないか。米国のある都市で2032年に行われた市長選で、こんな疑惑が持ち上がった。SF作家、アイザック・アシモフが1950年に発表した「われはロボット」(ハヤカワ文庫)の一場面である。・・・(音読:佐藤友紀)
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物理学のガリレオとニュートン、遺伝学のメンデル、進化論のダーウィン…。歴史に大きな足跡を残した天才科学者たちには、共通点がある。現代の観点からすれば、なんらかの研究不正を働いた可能性が高い。・・・(音読:塚本美也子)
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フランス映画界を代表する女優、ジャンヌ・モローさんは若い頃、アメリカの雑誌から「不美人」と決めつけられた。「メーク担当者たちは、彼女の低すぎる鼻と大きすぎる口に手を焼いた」。評伝にはこんな記述もある。・・・(音読:峰田雅葉)
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「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが高卒でプロ入りしていたら…。往年の野球ファンにとってこれほど魅力的な「歴史のイフ」はない。千葉県の佐倉一高時代、甲子園出場こそ逃したものの、強打の三塁手としてスカウトの目に留まっていた。・・・(音読:鈴木春花)
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関ケ原の戦いに勝利した徳川家康にとって、残る気がかりは豊臣家の存在だった。そこで目をつけたのが、秀吉の遺児、秀頼が再建した京都・方広寺大仏殿の釣り鐘である。刻まれている銘文「国家安康」が、家康の名を分割して呪うものだと、言いがかりをつけた。・・・(音読:塚本美也子)
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元日本レスリング協会会長の八田一朗は、選手の寝込みをよく襲った。昭和39年の東京五輪へ向けた合宿に、知られた話がある。寝静まった頃、全員をたたき起こし点呼を取る。続けてトレーニングをする日もあればビデオ研究を行う日もあった。・・・(音読:峰田雅葉)
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「天下の楫(かじ)を取る者が悪くいわれるのは、むかしからのことで、気にはしていない。なれど、疲れてきた……」。作家、池波正太郎さんは代表作の一つ『剣客商売』で、時の最高権力者だった老中、田沼意次にこう苦笑させる。小欄にはとんと縁のない話だが、人の上に立つのも大変である。・・・(音読:塚本美也子)
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蓄音機や白熱電球を世に送り出した発明王トーマス・エジソンは、自動車の歴史にも大きく関わっている。1900年代初頭には、電気自動車(EV)の開発を進めていた。すでに1回の充電で、160キロも走れる性能を誇っていた。・・・(音読:鈴木春花)
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昭和45年5月、横浜市で30歳の母親が、脳性まひの2歳の娘を殺害する事件が起こった。母親に同情が集まり、減刑嘆願運動が展開される。それに真っ向から異議を唱えたのが、脳性まひ者の組織「青い芝の会」の神奈川連合会だった。・・・(音読:佐藤友紀)
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