産経抄
トルコの民話に、稲を植える賢者が通りすがりの人にからかわれる話がある。「稲が実る頃には、お前の体が弱っているだろう」。賢者は笑った。「いや、子孫のためさ。先祖が私のために植えてくれたように」。・・・(音読:鈴木春花)
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小学校の給食で供されたクジラの竜田揚げは硬くてなかなかかみ切れず、不人気メニューだった。大学時代、仲間と一杯やる際は、クジラベーコンが定番のつまみだった。何しろ安かったし、近所のコンビニでもパック入りで普通に売っていた。クジラは昭和の頃、確かに身近な存在だった。・・・(音読:塚本美也子)
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今年もっとも印象に残った「迷言」といえば、これにとどめを刺す。「女子の方がコミュニケーション能力が高く、男子を救う必要がある」。東京医科大の不正入試問題をきっかけに、他の大学の医学部入試でも、女子や浪人に対する差別の実態が明らかになった。・・・(音読:加藤亜衣子)
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世界で初めて航空母艦(空母)を新造したのは、日本だった。「鳳翔(ほうしょう)」と名付けられ、大正11(1922)年に完成している。第二次大戦中も日本は、米国に次ぐ「空母大国」だった。・・・(音読:峰田雅葉)
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「●(からだ)の上に大きな消しゴムが乗っかっている」。向田邦子さんのエッセー『消しゴム』は、奇抜な書き出しで一気に読者の心をつかむ。消しゴムの正体は、後半になって明かされる。・・・(音読:塚本美也子)
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三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎の孫にあたる沢田美喜さんが、神奈川県大磯町にエリザベス・サンダース・ホームを開いたのは、昭和23年2月である。進駐軍の兵士と日本人女性との間に生まれた孤児を救うためだ。・・・(音読:鈴木春花)
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明治日本の軍事費の割合は、戦争をしていない時でも、歳出の30%近くを占めていた。だからといって、国民が重税にあえいだわけではない。では、軍事費を何でまかなったのか。・・・(音読:加藤亜衣子)
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米国暮らしの長かった絵本作家の八島太郎さんに、人柄のにじむ挿話がある。久々の帰国で〈飛び出すな車は急に止まれない〉の交通標語を目にし、「話が逆だ」とこき下ろした。「〈飛び出すぞ子供は急に止まれない〉がほんとじゃないかね」。・・・(音読:峰田雅葉)
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駆け出し記者だった30年近く前、初めて暮らす東北地方の初任地で、このようなポスターを見て驚いた。「奥羽越列藩同盟百○×周年記念シンポジウム」。小欄にとっては歴史のかなたの出来事が、ここではまだ生々しい傷痕なのかと己の無知を反省した。・・・(音読:塚本美也子)
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ロンドン特派員時代、北アイルランドに出張すると近所の住民に伝えるたびに、真顔で心配してくれたものだ。「あんな危ない所へ行って大丈夫?」。・・・(音読:鈴木春花)
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「中国国民に対する重大な人権侵害行為である」。カナダ当局が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長を拘束した件について、在カナダ中国大使館が出した声明である。「どの面(つら)下げて」。いささか品の悪い言葉が口から出そうになる。・・・(音読:加藤亜衣子)
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「現金3億円、輸送車ごと奪われる」「白バイ装い待ち伏せ」「ギャング映画ばり」。昭和43(1968)年12月10日の小紙夕刊は、こんな見出しで、3億円事件の発生を伝えた。以来、各紙の社会面は前代未聞の強盗事件の報道一色となる。・・・(音読:峰田雅葉)
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日本の女子フィギュアスケートの歴史を遡(さかのぼ)れば、稲田悦子さんに行き着く。1936年に行われたガルミッシュパルテンキルヘン(ドイツ)冬季五輪に、日本女子として初めて出場した。・・・(音読:塚本美也子)
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203連勝で引退した柔道家、山下泰裕氏の最後の試合は、主審も陰の主役だった。斉藤仁氏と争った昭和60年の全日本選手権決勝である。中盤、強引に技を掛ける山下に、斉藤は返し技の投げで応じた。両者は崩れ落ち、山下の背中が畳を打つ。・・・(音読:鈴木春花)
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7日付小紙正論欄で、東大名誉教授の平川祐弘(すけひろ)さんが回想していた。「日本が米英と西太平洋で交戦状態にはいったその日から戦争は『大東亜戦争』と呼ばれ、敗戦後は『太平洋戦争』となった」。平川さんは、「あくまで連合国側の立場に立って正邪の判断を下すべきなのか」と問いかけている。・・・(音読:峰田雅葉)
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「あなたは監視されている」。全国一の繁華街といえる東京・歌舞伎町では、平成14年に防犯カメラが導入された。朝日新聞は、それを伝える記事に冒頭の見出しをつけた。「善良な市民の平穏まで害するおそれがある」。弁護士の否定的な談話も載せていた。・・・(音読:塚本美也子)
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「外国人からみて日本の民主主義は絶滅寸前だ」。今年3月のネットニュースにこんな見出しの記事が掲載されていた。森友スキャンダルでは、首相官邸と国会周辺で小規模のデモが起こっただけ。・・・(音読:加藤亜衣子)
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米の横流しの罪で死刑を言い渡された父親を救うため、自分たちきょうだいが身代わりになる。16歳の「いち」は奉行にそう申し出た。奉行は、いちの最後の言葉にたじろいだ。・・・(音読:峰田雅葉)
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昭和と平成の境目のころから、新聞記者の生活は大きく変わった。それまでは取材に出てしまえば、会社に連絡しないかぎり、行動の自由があった。・・・(音読:塚本美也子)
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首相官邸で開かれていた宮沢喜一首相主催の夕食会は、騒然となった。平成4年1月、訪日中のブッシュ米大統領が、食べた物をもどし、いすから崩れ落ちた。・・・(音読:鈴木春花)
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トランプ米大統領はスマートフォンを3台持っているという。全て「iPhone」で2台は機密保全に穴のない公用である。大統領はしかし、無防備な私用の1台で人と話すのをやめない。会話が中国に盗聴されている、と米紙は10月に報じた・・・(音読:加藤亜衣子)
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内閣官房参与の飯島勲さんが、週刊文春11月29日号に寄せたコラムが話題になっている。元朝鮮人労働者をめぐる訴訟で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題について、こう断じているのだ。「お隣の韓国ほど信義信頼を守ってくれない国はないぜ」。もはや、日本人の対韓イメージも確定した。・・・(音読:塚本美也子)
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女優の赤木春恵さんは、終戦を旧満州のハルビンで迎えた。半年前から兄が現地で設立した劇団に参加して、各地を巡業していた。兄が召集されてからは、20歳にして座長を務めていた。・・・(音読:峰田雅葉)
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「フランケンシュタイン」というと、顔にギザギザの傷痕が走り、首にボルトが突き刺さった怪物を思い浮かべる人もいるだろう。実は怪物には名前がない。・・・(音読:鈴木春花)
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「いやや~、手、はなしたらこわい~!」。必死で叫んでも、おとうちゃんは容赦がない。「すまこっ、やる気を出さんと、なにもできん」「いけっ!」。銅版画家の安井寿磨子さんが、初めて補助輪なしで自転車に乗れた日の様子を、絵本に描いている(『こどもほじょりん製作所』)。・・・(音読:塚本美也子)
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「日本には選挙があって大変ですね」「25年間に11回選挙をしました」。1972年9月、田中角栄首相が日中国交回復のために訪中した際、毛沢東主席との間で、こんなやりとりがあったそうだ。・・・(音読:加藤亜衣子)
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「馬券が必ず当たる」競馬の法則などあるはずはないが、「馬を知らなくてもよく当たる」買い方はある。お世話になっている読者のみなさんにだけそっとお知らせすると、賞金の高いレースは、外国人騎手が乗る馬を軸にして買えば、かなり当たる。・・・(音読:峰田雅葉)
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大阪在住の方々には聞き捨てならない言葉だろう。カナダ生まれの社会情報学者、マクルーハンが言っている。「万国博覧会は過去のもの」。どういうこっちゃねん-と青筋を立ててはいけない。およそ半世紀前、1960年代後半の警鐘である。・・・(音読:鈴木春花)
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十人十色というが、それぞれの立ち位置が表れていて興味深い。韓国政府が慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づき設立された財団の解散を発表したことについて、在京各紙は22日付の社説で一斉に取り上げていた。それが、見事に論調が異なるのである。・・・(音読:塚本美也子)
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ソウル近郊の龍仁(ヨンイン)市にある法輪寺(ポンリュンサ)(尼寺)の境内に縦に倒されたままの石碑がある。先の大戦で日本兵として戦死した、朝鮮人兵士の「帰郷祈念碑」である。韓国通の女優、黒田福美さんが、「魂を故郷に帰したい」と発案して、10年前に完成した。・・・(音読:峰田雅葉)
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日産自動車の会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕には、謎が多い。その一つが時期である。なぜ、今週の初めだったのか。有価証券報告書への報酬減額の記載や不正な経費支出などは、数年前から行われてきた。・・・(音読:加藤亜衣子)
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昨日に続いて、番付について書く。何より江戸の庶民の関心を引いたのは、当時の金持ちのランキング、いわゆる長者番付であろう。たとえば「新板大江戸持○長者鑑」と題した番付は、170人の富豪を紹介している。・・・(音読:鈴木春花)
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北海道函館市が1位で、2位は京都市、3位は札幌市。民間シンクタンク「ブランド総合研究所」が先月発表した2018年の市区町村別の魅力度アンケートの結果である。・・・(音読:塚本美也子)
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旧東ドイツの警備隊員、コンラート・シューマンさんは同僚の兵士から、東西ドイツを隔てるベルリンの壁の建設が始まった、と聞かされた。1961年8月時点では、まだ有刺鉄線しかない。シューマンさんは、脱出を決意する。・・・(音読:峰田雅葉)
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教授の元に教え子から便りが届いた。「先生 お元気ですか/我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」。艶っぽい話である。いや、そうではないらしい。〈手紙を受けとった教授は/柿の書き間違いと気づくまで何秒くらいかかったか〉。・・・(音読:加藤亜衣子)
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中国はさぞや困っていることだろう。「南シナ海における中国による軍事拠点化と領域拡張は不法で危険だ」。米国のペンス副大統領は15日、シンガポールでの東アジアサミットで、中国を名指しで糾弾した。ペンス氏は、13日の安倍晋三首相との共同記者会見でも中国に手厳しかった。・・・(音読:塚本美也子)
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東京都文京区にある故鳩山一郎元首相の邸宅は現在、「鳩山会館」として一般公開されている。庭園の一角には、ソ連との国交回復を実現した一郎氏の銅像が立っている。平成19年2月にロシアのフラトコフ首相が来日した際に、ロシア側から贈られたものだ。・・・(音読:加藤亜衣子)
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「日本の文化は米づくりのうえにきずかれ、山や川の自然も、農民により、米づくりを通して守り育てられてきたのでした」。評論家の富山(とみやま)和子さんは、『お米は生きている』(講談社)の後書きに書いている。・・・(音読:鈴木春花)
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道端で腰掛けて休んでいると、知らない人が話しかけてきた。「自宅は分かりますか?」。ご親切には感謝するけれど「心境は複雑」と、81歳の男性は記す。お米を研いだり、茶碗(ちゃわん)を洗ったり、70歳の夫が「所帯染みて」くると、妻の仕草(しぐさ)が「男っぽくなった」。・・・(音読:峰田雅葉)
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「生き腐れ」という言葉があるほど、サバは傷みが早い。とはいえ冷蔵庫がない時代でも、京都の庶民は若狭湾で取れたサバを堪能できた。「鯖街道」のおかげである。・・・(音読:加藤亜衣子)
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仕事柄、金がもたらす不和を数多く見てきた。幸いにも、友人知己との間で大きな金を貸し借りしたことはないが、明日はわが身と備えるに越したことはない。心の構えようとしては、作家の菊池寛が参考になる。・・・(音読:塚本美也子)
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「最終的には国民が判断することで、今の状況は国会の怠慢」。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は6日の記者会見で、今国会でまだ一度も開催されずにいる衆参両院の憲法審査会について嘆いた。立憲民主党などは、開催に応じない理由をいろいろと並べているが、要はさぼりである。・・・(音読:鈴木春花)
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埼玉県川口市といえば、映画「キューポラのある街」を思い出す。かつての鋳物の街は近年、ベッドタウンとして発展してきた。約3万人の外国人が暮らす街としても知られる。全国でも、東京都新宿区、江戸川区に次いで3番目に多い。・・・(音読:塚本美也子)
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咸臨丸が米西海岸に到着したのは、安政7(1860)年3月である。サンフランシスコに上陸した福沢諭吉にとって、見るもの聞くもの全てが新鮮だった。・・・(音読:峰田雅葉)
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マツタケ料理のひとつに土瓶蒸しがある。作家の幸田露伴は、ウナギの蒲(かば)焼きとの組み合わせを好んだ。「二ツ裂きにしたくらゐの大きな茸を入れ、その上からたれを清酒で薄めてそゝぎかけ、蓋をして火にかける。土瓶が鳴りだせばそれでいゝ」。・・・(音読:加藤亜衣子)
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日本から約7千キロ離れた南太平洋のニューカレドニアといえば、まず「天国にいちばん近い島」という言葉が思い浮かぶ。森村桂(かつら)さんが昭和41(1966)年に刊行し、200万部のベストセラーとなった旅行記のタイトルである。・・・(音読:塚本美也子)
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「先祖の話ができる人はうらやましい」と先月のコラムで書いた。突然の訃報が届いた江波杏子さんもその一人である。江戸・千駄ケ谷の植木屋平五郎は、新選組の沖田総司をかくまい、最期をみとった人物として、新選組ファンによく知られている。江波さんはその玄孫(やしゃご)にあたる。・・・(音読:鈴木春花)
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禅僧で歌人の天田愚庵は正岡子規に短歌の開拓を促した人として知られる。ある年の秋、庭になる柿を病身の子規に送った。待てど返事がない。愚庵は気遣う歌を子規に宛てた。〈正岡(まさをか)は真幸(まさき)くてあるか柿の実の甘きともいはず渋きともいはず〉。・・・(音読:峰田雅葉)
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韓国側が、どんな点に関して気をもんでいるかが分かる。元徴用工をめぐる訴訟で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題で、韓国紙・中央日報日本語版は1日、同日の衆院予算委員会における安倍晋三首相と河野太郎外相の以下の答弁を取り上げていた。・・・(音読:塚本美也子)
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8代将軍徳川吉宗によって江戸町奉行に登用された大岡越前守忠相(ただすけ)といえば、名裁判官として名高い。「大岡裁き」の数々は、講談をはじめ、映画、ドラマでおなじみである。・・・(音読:峰田雅葉)
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