産経抄
「オイ胃吉さん、お目出度う」「ヤアこれは腸蔵さん、去年中はお世話さまでしたね。また相変りませずか、アハハ」。明治36(1903)年の正月、「報知新聞」を開いた読者は、面食らったことだろう。・・・(音読:加藤亜衣子)
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坂本龍馬は、西郷隆盛の器量を鳴り物にたとえて評している。「少しくたたけば少しく響き、大きくたたけば大きく響く」。一説によると、龍馬はこう続けている。「惜しむらくはこれをつく撞木(しゅもく)が小さかった」。・・・(音読:加藤亜衣子)
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2年前からの疑問が氷解したのがありがたい。韓国が、27日に公表した慰安婦問題をめぐる日韓合意の検証報告書によってである。小欄が平成27年12月の合意時、政府高官に取材した合意のある大きな成果について、日韓両政府が一切発表しなかったため、どうなっているのかとずっといぶかっていた。・・・(音読:峰田雅葉)
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みかんは、日本人にとってもっとも親しまれてきた果物だろう。正月のお供え餅の飾りにも欠かせない。「古事記」や「日本書紀」にも記述があるほど、つきあいが長い。大分県津久見市内では、奈良時代の740年に栽培が始まったと伝えられる。・・・(音読:塚本美也子)
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噴飯ものの結論と呼ぶしかない。慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意に対する、韓国政府の検証結果が出た。「元慰安婦の意見を十分に聴かなかった」というのだ。日本政府は合意に従い、10億円の資金を提供している。元慰安婦の7割以上が現金を受け取っている事実から、目をそむけている。・・・(音読:鈴木春花)
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芥川龍之介に、『六の宮の姫君』という短編作品がある。大学4年の「私」は、卒業論文のテーマに芥川を選んだ。出版社でアルバイトすることになり、芥川と直接対面したという文壇の長老と出会う。「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」。・・・(音読:峰田雅葉)
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南米ペルーのフジモリ元大統領(79)の母、ムツエさんは、熊本県に生まれた。21歳で夫とともに移住して、病弱な夫の分まで働き、3男2女を育てあげた。小紙の元論説委員長、千野境子さんがムツエさんの半生記「遙かな道」を連載したのは、日系人初の大統領が誕生してから1年後の平成3年だった。・・・(音読:塚本美也子)
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豊後羽根(ぶんごうね)藩の若い藩士、檀野(だんの)庄三郎が、山村に足を踏み入れるところから、物語は始まる。訪ねた先は、幽閉中の元郡(こおり)奉行、戸田秋谷(しゅうこく)の屋敷である。秋谷は7年前に、前藩主の側室と不義をはたらいたとして、藩史編纂(へんさん)と10年後の切腹を命じられていた。・・・(音読:加藤亜衣子)
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徳富蘇峰と蘆花は不仲の兄弟で知られる。言論人の兄は「徳富」を用い、人気作家の弟は「徳冨」に固執した。小説『黒潮』(明治36年)の中で、蘆花は思想の異なる兄に断交を伝えている。「此(この)相違は…先天的相違なるを認めた」と。「富」と「冨」、点の一つにも悲話がある。・・・(音読:塚本美也子)
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「これでソウルの在韓日本大使館前の慰安婦像は撤去できます」「男と男の約束です」。2年前の12月、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたった日韓合意が結ばれる際、韓国の李丙●(イ・ビョンギ)元駐日大使は、日本側担当者にこう語った。国と国同士の重い取り決めである。・・・(音読:鈴木春花)
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「出歯亀」という言葉は、明治時代に起きた強姦(ごうかん)殺人事件に由来する。犯人の亀太郎は出っ歯で、女湯のぞきの常習者だったことから、変質者をこう呼ぶようになった。ただし殺人事件については、冤罪(えんざい)の可能性が高い。やってもいない犯行を自白したらしい。・・・(音読:加藤亜衣子)
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山梨県上野原市に「談合坂」という地名がある。社会学者の加藤秀俊さんによると、近隣の村人が集まって「談合」、つまり話し合いをする場所だった。北条、武田といった戦国大名が交渉した、との説もある。・・・(音読:峰田雅葉)
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同僚記者がネットで見つけた。面白がって印刷し、仕事部屋の壁に張っていた。「50年後」の日本地図である。西日本は中国の「西海省」、それ以外は「東北自治区」となっていた。・・・(音読:塚本美也子)
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米中央情報局(CIA)のモスクワ支局長に赴任したばかりのマイク・クラインの自宅に電話がかかってきた。相手はソ連国家保安委員会(KGB)幹部のレム・クラシリコフだった。「ガヴリロフだが、明日ちょっと会わないか」。冷戦末期の1989年11月の出来事である。・・・(音読:加藤亜衣子)
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原爆投下の2週間後だった。海軍兵学校から愛媛県の実家に復員する16歳の少年は、広島駅で1泊する。街は破壊し尽くされていた。焼け跡を眺めていると、無数の小さな炎に気づいた。死体から流れ出たリンが燃えていたのだ。まさに世界終末の光景である。そのとき、赤ん坊の泣き声が聞こえた気がした。・・・(音読:峰田雅葉)
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東京都心のイチョウ並木は年越しの準備に忙しい。師走の声に、寒波が重い腰を上げたせいであろう。歩道に散り敷く落ち葉が目を引き、黄金色のじゅうたんに照り返る冬日は目に痛い。慌ただしい年の瀬である。・・・(音読:鈴木春花)
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美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が今月6日、米ニューヨークでの競売で『昭和天皇独白録』の原本とされる文書を落札したとの記事を目にし、久しぶりに同書を読み返した。「現代史、なかでも昭和史にもっとも精通した歴史的証人」(現代史家の秦郁彦さん)である昭和天皇の目に、世界はどう映ったか。・・・(音読:塚本美也子)
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「伊方原発運転差し止め」のニュースは、専門家にとっては「想定外」だったようだ。速報が入った瞬間、近くにいた司法と科学担当の記者は絶句した。・・・(音読:加藤亜衣子)
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今年4月に参院で行われた外交に関する調査会に、参考人として川口順子(よりこ)元外相の姿があった。発言でまず、劇団四季のミュージカル『異国の丘』を取り上げた。・・・(音読:峰田雅葉)
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宇宙飛行士の金井宣茂(のりしげ)さん(41)は17日、いよいよロシアのソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーションに向かう。ともに出発する米露の宇宙飛行士からは、「ニモ」と呼ばれているそうだ。・・・(音読:塚本美也子)
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世界最古の都市の一つ、エルサレムは、イスラエルの首都であって首都ではない。イスラエルは1948年の第1次中東戦争の勝利により、西エルサレムを獲得した。・・・(音読:鈴木春花)
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首相時代の中曽根康弘氏にこぼれ話がある。何かの会見で「ホウカン外交」と言ったところ通訳は「おもねるご機嫌取り外交」と英訳した。「幇間(ほうかん)(たいこ持ち)」と聞こえたようで、中曽根氏はあわてて「砲艦外交だ」と英語で訂正したという。・・・(音読:加藤亜衣子)
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自らの座右の銘、「面従腹背」を地で行く姿に慄然(りつぜん)とする。時の政権に逆らわず文部科学省の事務次官まで上り詰め、高額の退職金をもらった後に「政治の判断」への批判を繰り返す前川喜平氏のことである。前川氏が最近までトップを務めていた文教行政自体が、怪しく思えてくる。・・・(音読:塚本美也子)
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世界最古の都市の一つ、エルサレムは、イスラエルの首都であって首都ではない。イスラエルは1948年の第1次中東戦争の勝利により、西エルサレムを獲得した。・・・(音読:鈴木春花)
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「コンピューターに負ける日が来るのか」。20年以上も前、プロの将棋棋士を対象にこんなアンケートが行われたことがある。多くの棋士が真っ向から否定するなか、その日が来るのをほぼ正確に予想していた棋士がいた。羽生善治さんである(『人工知能の核心』)。・・・(音読:峰田雅葉)
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「牛舌(タン)の塩づけのごとき安くてウマい料理法を簡単に公表されてはたちまち値上がり必然。これからはもっと、マズくて高いものをオイシク食べる方法を書け」。映画評論家の荻昌弘さんの自宅に、こんなハガキが届いた。・・・(音読:加藤亜衣子)
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日本は海岸線の異常に長い国である。松本健一さんの著書『海岸線の歴史』から教わった。日本は四方を海に囲まれているだけではない。海岸線の多くが凹凸に富んでいるからだという。・・・(音読:塚本美也子)
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「坂本龍馬」や「吉田松陰」「上杉謙信」が、高校の教科書から消える。先月半ば、一部のメディアが報じると、龍馬ファンが反発するなど大騒ぎになった。・・・(音読:鈴木春花)
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森鴎外は最晩年に『元號(げんごう)考』という労作を残した。「大化」に始まる元号の典拠を詳細に記した考証本である。そこには「明治」の1つ前、つまり「慶応」を定めるに際して、他に40もの案があったと書かれている。・・・(音読:峰田雅葉)
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長崎県平戸市の黒田成彦市長が11月28日付の自身のツイッターで、「市長室では朝日新聞の購読をやめた」と表明したことが話題を呼んでいる。理由は「誤報を垂れ流す広報媒体を排除する」というのだから、手厳しい。森友・加計学園問題に対する朝日の報道姿勢が念頭にあったようだ。・・・(音読:加藤亜衣子)
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ドイツ文学者の高橋義孝さんが、横綱審議委員会委員長を務めていたころの話である。親しい親方衆とゴルフを楽しみ、終わって風呂に入ると、春日野理事長と中立親方の姿があった。春日野さんが背中を洗おうとすると、中立親方が背中を流し始めた。・・・(音読:塚本美也子)
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中米のコスタリカは日本と同じように憲法で軍隊の保有を禁止している。国際ジャーナリストの伊藤千尋(ちひろ)さんは先日、毎日新聞紙上で日本もこの国の平和主義に学ぶべきだと説いていた。周辺国に対話の重要性を訴え、「平和の輸出」を行っているそうだ。なんともうらやましい。・・・(音読:峰田雅葉)
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将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が先週、公式戦通算50勝を達成した。そのときのテレビ映像が興味深い。「『せつもく』の数字となりました」。藤井四段のコメントに、報道陣から困惑の声が上がる。「『なにもく』ですか?」。「僥倖(ぎょうこう)」「醍醐味(だいごみ)」など、これまでも中学生らしからぬ言葉遣いが話題になってきた。「節目(ふしめ)」のこんな読み・・・(音読:加藤亜衣子)
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作家の故吉村昭さんに『船長泣く』という短編がある。漂流した漁船で乗組員が次々に死んでいくなか、船長は遺書を書いた。「トッタンノイフコトヲキキナサイ。オキクナリテモ、リョウシハデキマセン。カシコクナリテクレ、タノミマス」。・・・(音読:鈴木春花)
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ダイエーの創業者、中内功さんは生前、新しい店のオープン前に店内巡回するのを習慣としていた。少しでも鮮度の悪いモヤシでもあろうものなら、売り場の担当者の頭にザルごとぶっかけた(『カリスマ』佐野眞一著)。・・・(音読:峰田雅葉)
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芥川龍之介は、仮名の形にも美醜や好悪の情を覚えた。例えば〈「い」は落ち着いてゐる、「り」は如何にも鋭い〉と随筆に書き留めている。文字を子細にながめたことのある人は、よく似た経験をお持ちだろう。・・・(音読:塚本美也子)
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介護特区制度を利用して新サービスを展開しようとした事業者が、突然、マスコミの激しい攻撃にさらされる。ある新聞が、この業者は「総理の意向」により、優遇を受けたと報じたためだ。といっても現実の話ではない。藤栄道彦さんの漫画『コンシェルジュ インペリアル』(7巻)のエピソードである。・・・(音読:峰田雅葉)
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97歳の夫と90歳の妻が、ともに現役のプロとして闘っている。世界でもあまり例がない夫婦ではないか。囲碁の杉内雅男九段と寿子(かずこ)八段である。・・・(音読:塚本美也子)
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俳人の坪内稔典(ねんてん)さんは、毎年「勤労感謝の日」がやってくると、胸がキュンとなるそうだ。坪内さんの故郷、愛媛県西部の佐田岬の中ほどにある村では、「ほごこかし」と呼んでいた。・・・(音読:鈴木春花)
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2006年に公開された英国の映画「クィーン」では、金婚式を間近に控えたエリザベス女王とフィリップ殿下夫妻の日常生活が描かれている。「おやすみ。キャベツちゃん」。殿下は女王に声をかけてベッドに入っていた。実際、この愛称で呼ぶことがあるらしい。・・・(音読:峰田雅葉)
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相撲の強豪校、鳥取城北高校は、関脇照ノ富士や逸ノ城、貴ノ岩らモンゴル人力士の母校でもある。学校とモンゴルとの関わりは、平成12年に相撲部の監督が現地を訪ねたことに始まる。・・・(音読:塚本美也子)
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「お客様は神様です」。「国民的歌手」の故三波春夫さんの名文句である。これほど誤解されて広がった言葉も珍しい。実は、お客様イコール神様の意味ではない。芸の始原とは、神を前にしてのパフォーマンスだったといわれる。三波さんも、観客を神様に見立てて雑念を払っていた。いわば芸人としての誇りを示した言葉である。・・・(音読:加藤亜衣子)
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日本の鉄道事業に制服制度を残したのは、後藤新平だった。かつて国有鉄道を管理した鉄道院の初代総裁である。「怠惰を制し、放逸を戒め、規律を確守し、責務を重んじ、これを全うさせる」。制服の役目を問われ、後藤はこう述べている(『時代が求める後藤新平』藤原書店)。・・・(音読:鈴木春花)
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拉致問題を動かすテコとなるだろうか。米国は来週初めにも、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するかどうかの決定を発表する。指定国への経済援助は禁止され、金融制裁などが科されるため、国際金融機関から北への融資も滞る。ただでさえ、国連安全保障理事会や各国独自の制裁を受けている北は、いよいよ窮地に陥る。・・・(音読:塚本美也子)
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アフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領(93)の妻、グレースさん(52)は「グッチ・グレース」と呼ばれている。高級ブランドがお好みらしい。気性の激しい女性でもある。今年8月には、隣国の南アフリカのホテルで、息子の知人の女性モデル(20)の顔を電気コードで殴り傷を負わせた。・・・(音読:鈴木春花)
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元横綱の初代若乃花、故花田勝治さんは、酒豪で知られた。十両時代、北海道での巡業中、若い衆を引き連れて小料理屋でどんちゃん騒ぎをやった。勘定の段になって懐が寂しい。ふと、横綱東富士の顔が浮かび、「金を借りてこい」と使いを出してしまった。・・・(音読:峰田雅葉)
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宮沢賢治は、「石っこ賢さん」と呼ばれるほど、石集めが好きな少年だった。岩手の農林学校では地質学を学び、地質調査旅行にも出かけた。多くの作品に鉱物や岩石を登場させている。・・・(音読:塚本美也子)
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昭和52(1977)年とは、どんな年だったのか。手元にある日本現代史の年表を開いてみる。9月3日には、巨人の王貞治選手が通算756本塁打を記録し、米大リーグ記録を上回った。・・・(音読:加藤亜衣子)
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西鉄の大投手、稲尾和久は打席でも頼りになった。巨人と争った昭和33(1958)年秋の日本シリーズは、登板した第5戦でサヨナラ本塁打を放っている。作家の丸谷才一さんはこの一打を「球界の神話」と賛美した。・・・(音読:峰田雅葉)
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9月19日付小紙朝刊は、ベトナム戦争に派遣された韓国軍兵士が、現地女性を性的暴行するなどして「ライダイハン」と呼ばれる混血児が生まれた問題を取り上げていた。岡部伸ロンドン特派員が、英国に犠牲者を救うための民間団体が設立されたことを報じた記事である。・・・(音読:塚本美也子)
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