産経抄
カリブ海の島国キューバは3年前、仇敵(きゅうてき)だった米国と54年ぶりに国交回復を果たした。といっても、共産党の一党独裁体制は変わらない。経済の苦境も続く。ただこの国の自慢は、国民が無料で受けられる医療制度である。・・・(音読:塚本美也子)
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長野県小谷(おたり)村の稗田山(ひえだやま)が突如崩れたのは、明治44年8月8日の午前3時ごろだった。大量の土砂が田畑と人家を押しつぶし、川をせき止めて湖をつくった。23人が亡くなっている。・・・(音読:加藤亜衣子)
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作家の三島由紀夫は、昭和22年に大蔵省(現財務省)に入省するものの、創作に専念するためわずか8カ月で辞める。強く引き留めたのが、後に「大蔵省のドン」と呼ばれる長岡実さんだった。ともに東大法学部を出た同期生であり、父同士が旧制一高の同級生という因縁もあった。・・・(音読:鈴木春花)
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東京五輪を4年後に控えた昭和35年、サッカー日本代表の強化が急務だった。当時の西ドイツからコーチとして招かれたのが、35歳のデットマール・クラマーさんである。・・・(音読:塚本美也子)
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テレビ用に毎日3分ほどの作品を作りたい。原作は4コマ漫画、アニメーションの巨匠と呼ばれるあの人なら、映像化は造作もなかろう。いつもの定食を頼むような口ぶりで、スタジオジブリ代表の鈴木敏夫さんは企画を高畑勲監督に投げてみた。・・・(音読:峰田雅葉)
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「空前絶後の暴挙」「シビリアンコントロール(文民統制)の危機」「隠蔽(いんぺい)が安倍晋三政権の特徴」…。陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報が、発見から1年以上も公表されなかった問題で、おどろおどろしい言葉が飛び交っている。確かに考えられない事態であり、野党は安倍内閣の退陣を求めている。・・・(音読:塚本美也子)
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作家の故久世光彦さんが語る幼い頃の思い出である。母親が毎朝炊くごはんに必ずオコゲが出る。それに塩を少しまぶし焼き海苔(のり)を巻いて、こっそり渡してくれた。・・・(音読:峰田雅葉)
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野球とはそもそもどんなスポーツなのか。野球評論家の故豊田泰光さんが、現役時代の昭和36年に初めてハワイに渡った時のエピソードは、大いに考えさせられる。現地では、広島出身の日系人に世話になった。・・・(音読:加藤亜衣子)
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2013年に公開されて、アカデミー賞7冠を獲得したハリウッド映画「ゼロ・グラビティ」は、とりわけ中国で人気を博した。宇宙空間に投げ出された米国の女性飛行士を救ったのが、中国の宇宙ステーションだったからだ。・・・(音読:鈴木春花)
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電子機器メーカー、浜松ホトニクスの昼馬(ひるま)輝夫社長は当初、小柴昌俊東大教授の注文を断るつもりだった。宇宙から飛来する素粒子「ニュートリノ」を検出するには、この会社の光電子増倍管が欠かせない。微弱な光を電気信号に変える役目を果たす。・・・(音読:塚本美也子)
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米国人記者のカンボジア人助手が内戦終結後、国外脱出に失敗する。一人取り残され、移送された集団農場では、特別な理由もなく人が次々に殺されていく。脱走して難民キャンプをめざす途中の荒野には、白骨死体が散乱していた。・・・(音読:峰田雅葉)
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都心の喫茶店で、聞くともなしに耳に入った会話である。「どんな業種を回っているの?」「生命保険に絞って回っております」。30代の男性を前に、大学生とおぼしき青年が背筋を伸ばしていた。仕立て下ろしの背広と見え、装いがぱりっとしている。・・・(音読:加藤亜衣子)
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「今こそ、最後のチャンスだと思っています」。30日、安倍晋三首相と面会した拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さんはこう訴えた。わずか13歳のめぐみさんが北朝鮮に拉致されてから、40年以上の歳月が流れている。北の国際社会への歩み寄りという、ようやく巡ってきたこの機を逃すわけにはいかない。・・・(音読:峰田雅葉)
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第二次大戦の欧州戦線で、米陸軍テキサス大隊は窮地に陥っていた。北フランスの山中でドイツ軍に包囲された大隊の救出に向かったのが、第442連隊である。・・・(音読:鈴木春花)
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「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」でおなじみの「カルビー」は、もともとのんびりした社風で知られていた。松本晃(あきら)さんは、そこに旋風を巻き起こした。・・・(音読:塚本美也子)
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佐藤栄作元首相は、「黙々栄作」の異名の通り、口が堅かった。新聞記者泣かせの夫に代わって話題を提供したのが、寛子夫人である。昭和44年秋の訪米の際、ミニスカート姿で旅立って大騒ぎになった。・・・(音読:峰田雅葉)
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「石をぶつけられても」と覚悟を決められていたという。皇太子ご夫妻時代の天皇、皇后両陛下が初めて沖縄を訪問されたのは、昭和50年7月である。本土復帰からまだ3年しかたっていない。皇室に対する複雑な感情が渦巻いていた。・・・(音読:加藤亜衣子)
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かつて、日本には縄文時代以前の旧石器時代は存在しないとされてきた。その定説を覆したのが、独学で考古学を学んだ故相沢忠洋(ただひろ)である。納豆の行商をしながら、旧石器時代の群馬県・岩宿遺跡を発見した。・・・(音読:塚本美也子)
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日本の有人ロケットが火星に着いた。安倍晋三首相は地表に巨大な日の丸を描かせた。次に中国のロケットが着いた。習近平国家主席は「日の丸の上から赤いペンキを塗れ」と指示し、中国国旗に変えさせた。最後に着いたのは米国のロケットである。・・・(音読:鈴木春花)
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23日付小紙は、米共和党議員3人が、中国政府が中国語普及の拠点として世界各地に展開する「孔子学院」の監視強化法案を、上下両院に提出したと報じている。中国共産党と政府の価値観を宣伝し、対外世論工作を行う党・政府の公的出先機関というのが実態だからである。・・・(音読:峰田雅葉)
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茨城県日立市ではまもなく、映画『ある町の高い煙突』の撮影が始まる。新田次郎の同名の小説(文春文庫)が原案である。「高い煙突」とは、旧日立鉱山の「大煙突」を指す。・・・(音読:塚本美也子)
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動物学者の今泉忠明さんの著書『絶滅動物誌』を読むと、人類がいかに多様な生物を滅ぼしてきたかよくわかる。かつて北大西洋上に集団で生息していた、ペンギンそっくりのオオウミガラスも、今は剥製が残るのみである。・・・(音読:加藤亜衣子)
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東日本大震災から約1カ月後、仙台を本拠地とする楽天は、札幌ドームで復興支援試合を行った。選手会長の嶋基宏捕手が試合前に行った名スピーチは、今も語りぐさである。・・・(音読:峰田雅葉)
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戦国武将の武田信玄が残した名言の一つである。「およそ戦というものは、五分をもって上とし、七分を中とし、十分をもって下とす」。五分の勝ちなら今後の励みとなり、七分なら心に怠りが生じる。・・・(音読:塚本美也子)
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「良識疑わせるCMなぜ流す」。平成9年8月10日付の朝日新聞に、こんな見出しのついた投書が掲載された。投稿したのは、長者番付(高額納税者)の作家部門で1位になったばかりの、内田康夫さんである。・・・(音読:鈴木春花)
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落語の名人とうたわれた初代三遊亭円朝(1839~1900年)は赤貧の晩年を送った。見かねたひいき筋から「使ってくれ」と金を渡される場面が、松井今朝子さんの小説『円朝の女』にある。円朝は高座さながらの名調子で、見えを切った。・・・(音読:峰田雅葉)
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17世紀末の米マサチューセッツ州セイラム村で始まった魔女裁判では、19人が処刑され、1人が拷問中に圧死し、5人が獄死したという。集団心理にとらわれ、感情が制御できなくなった群衆は、いくらでも残虐にも愚かにもなりうる。狂気は、日常から遠いところにあるものではない。・・・(音読:加藤亜衣子)
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英物理学者のスティーブン・ホーキング博士は、1942年1月8日にオックスフォードで生まれた。この日は、ガリレオが世を去ってから、ちょうど300年に当たっていた。76年の生涯を終えた日は、アインシュタインの誕生日である。・・・(音読:鈴木春花)
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朝鮮戦争の最中の1951年4月、トルーマン米大統領は、国連軍司令官だったマッカーサー元帥を突如解任した。命令不服従の繰り返しに、堪忍袋の緒が切れた。とはいえ、相手は第二次大戦の英雄である。体面を重んじて、大統領が個人的に特使を送ることになった。・・・(音読:塚本美也子)
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かつて日本人は、地域によって異なる種類の桜を楽しんでいた。古来桜の名所として知られる吉野山を抱える近畿地方では、なんといってもヤマザクラである。・・・(音読:峰田雅葉)
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平成24年に87歳で亡くなった俳優の大滝秀治さんは、芝居の稽古の前に必ず台本を2冊もらった。1冊は肌身離さず持ち歩く。演劇評論家の木村隆さんのインタビューに、「体から離すと、役が逃げるような気がして」と語っている。・・・(音読:鈴木春花)
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「一九七一年七月十五日という日を私は一生忘れないだろう」。田久保忠衛(ただえ)杏林大名誉教授は、著書の『戦略家ニクソン』に記している。この日ニクソン米大統領は、敵対していた中国を訪問する、と電撃発表した。・・・(音読:加藤亜衣子)
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歌人の永田和宏さんに悲痛な一首がある。〈わたくしは死んではいけないわたくしが死ぬときあなたがほんたうに死ぬ〉。同じ歌人で妻の河野裕子さんをがんで亡くし、自戒を込めて詠んだという。「死者は、生者の記憶のなかにしか生きられない」と(『たとへば君』文芸春秋)。・・・(音読:塚本美也子)
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東京都内の公立小学校教諭、黒木公一さんは昨年12月25日の小紙記事を読み、危機感を覚えた。記事は、政府が北朝鮮による拉致問題啓発のため制作し、全国の小中学校や高校に配布しているDVDアニメ「めぐみ」を活用している学校が、わずか7・7%にとどまると報じていた。・・・(音読:峰田雅葉)
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昨日のコラムで取り上げた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(ヨジョン)氏にぜひ聞いてみたい。昨年2月にマレーシアで殺害された、2人の異母兄に当たる金正男氏についてである。・・・(音読:加藤亜衣子)
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「貿易戦争」なんて言葉を聞くと、日米貿易摩擦が激しかった1980年代を思い出す。日本の輸出が伸びて、米国の赤字が拡大していた。とりわけ目の敵にされたのが、自動車である。労働者がハンマーで、日本車をたたきつぶす映像が話題を呼んだ。・・・(音読:塚本美也子)
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漫画家の故畑田国男さんは、「姉妹型研究家」の肩書も持っていた。著書の『「妹の力」社会学』のなかで、織田信長とナポレオンという日仏を代表する英雄の違いを妹との関係に見る。・・・(音読:峰田雅葉)
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千葉県の網元の家に生まれ、明治の終わりに渡米した早川雪洲(せっしゅう)は、日本人国際スターの草分けである。もっとも、第二次大戦中にパリで消息不明となった。・・・(音読:鈴木春花)
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イラク人の少年とその母親らしい女性が、味方の戦車に近づいてきた。少年が隠し持っているのは、対戦車手榴弾(しゅりゅうだん)らしい。スコープ越しに2人の姿をとらえた米海軍特殊部隊員のクリス・カイルは、決断を迫られていた。・・・(音読:塚本美也子)
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中世ヨーロッパの天文学者、ブラーエとケプラーは疑心を抱き合う師弟だったという。天体観測の権威であるブラーエは弟子を信用せず、手元のデータを見せようとしない。25歳下のケプラーは師のすげなさを気に病み、科学の才をもてあました。・・・(音読:加藤亜衣子)
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韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は1日のトランプ米大統領との電話会談で、近く北朝鮮に特使を派遣する方針を伝えた。これについて、サンダース大統領報道官は、朝鮮半島非核化のプロセスとして歓迎の意向を示したが、さて米国の本心はどうか。対北融和路線を突き進む文政権への警戒心を、一層強めたのではないか。・・・(音読:峰田雅葉)
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堀口大学に「小学生」と題した作品がある。「先生/植物学は嘘ですね/樹木もやはり笑ふのです/梅が一輪さきました」。詩人は子供になりきって、早春の風景を詠んでいる。・・・(音読:塚本美也子)
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「日本は韓国の手本」。平昌五輪の開会式を中継していた米NBC放送の解説者の発言が、猛反発を受け謝罪に追い込まれたのは記憶に新しい。日本の植民地支配を擁護した、というのだ。・・・(音読:鈴木春花)
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東大教授の福島智(さとし)さんは、ハードボイルド小説のファンを公言している。福島さんは、9歳で失明、18歳で聴力を失った。見えなくて聞こえない過酷な状況で生きるということは、毎日戦場にいるような感じだという。・・・(音読:峰田雅葉)
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さすが中国である。中国文学者の一海知義(いっかい・ともよし)さんによると、「民主」という言葉は、2500年も前にすでに使われていた。たとえば、孔子の著作とされる『書経(しょきょう)』にもある。・・・(音読:塚本美也子)
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歌手の由紀さおりさんは、姉の声楽家、安田祥子(さちこ)さんと30年以上にわたって童謡や唱歌を歌い続けている。2人は、小学校時代から童謡歌手として競い合っていた。やがて姉はクラシック、妹は歌謡曲と別々の道を歩いていく。・・・(音読:加藤亜衣子)
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海外のジョークがある。「君のオフィスではどれくらいの人が働いているんだい?」「半分くらいかな」(文春新書『すごい言葉』から)。尋ねた側は会社の規模を聞いたつもりが、思わぬ答えに面食らったろう。・・・(音読:鈴木春花)
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昨今の国際情勢をかんがみれば、さもありなん。「米国の最大の敵対国」を聞いた米ギャラップ社の今月の世論調査で、米国民の51%が北朝鮮と答え、トップだったという。2位がロシア(19%)、3位が中国(11%)というのも、米国の立場を考えればまずは順当だろう。・・・(音読:峰田雅葉)
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直木賞作家、三浦しをんさんの青春小説『風が強く吹いている』は、箱根駅伝が舞台となる。個性豊かな10人のメンバーが、シード権目指して襷(たすき)をつないでいく。長距離走者にとって一番大切なのは、「速さ」か「強さ」か。・・・(音読:塚本美也子)
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98歳の天寿を全うした俳壇の長老、金子兜太(とうた)さんは、『文芸春秋』平成21年5月号で、俳人でもある中曽根康弘元首相と対談を行っている。2人は、海軍経理学校出身という共通点もあった。中曽根さんは数々の戦闘体験で知った「日本の庶民の愛国心」が、政治家としての支えになったと語っている。・・・(音読:鈴木春花)
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