産経抄
その道の名人達者は、世界の見え方が凡下とまるで異なるらしい。▼「打撃の神様」と呼ばれたプロ野球巨人の川上哲治は、好調時に立つ打席で「ボールが止まって見える」と勇ましかった。空中で人間離れした技を繰り出す体操の内村航平選手は、体育館の天井や壁の景色を絵に描いて、記憶に刻みつけたという。どれほど体が回ろうと、自分の体がいまどの位置にあるか分かるのだ、と。時間さえもわが物にした人だけが、たどり着ける境地だろう。・・・(音読:加藤亜衣子)
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