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産経抄

2017.10.15

【産経抄】10月15日(音読:塚本美也子)

幼い頃に生き別れた母を捜し、博徒の忠太郎は江戸に出た。▼母とおぼしき人の消息を知る老女は言う。「子供のことなんか忘れているよ」。すげない言葉に忠太郎が色をなす。「たとい何十年経(た)ったとて生みの親だあ、子じゃあねえか、体中に一杯ある血は、双方ともにおんなじなんだ。そんなことがあるものか」。長谷川伸の戯曲『瞼(まぶた)の母』である。血は水よりも濃いという。・・・(音読:塚本美也子

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