おすすめの一冊

2017.2.2

言葉のプロなら読んでおくべき小説 『本日は、お日柄もよく』(著・原田マハ)

「スピーチライター」という職業。多くの人にとって、アメリカ大統領などの演説の裏にはそういう人がいるんだろうなぁという程度の認識で、これまで遠い存在だったのではないだろうか。しかしこの小説では、名スピーチが人の心を揺り動かし、国をも動かす力があることが、一人の女性の仕事を通じ身近なものとして描かれている。

 

元は普通のOLだった女性がスピーチライターに転身し、幼馴染である国会議員候補のスピーチを担当することになる。OLだった時代は特に仕事にやる気もなく、恋愛もうまくいかなかった主人公が、「伝説のスピーチライター」であるカッコイイ女性と出会い、弟子入り。それを機に人生が輝き始めるというストーリー。

 

主人公が苦難に立ち向かったとき、さまざまな「言葉」に助けられる。スピーチライターという仕事に出会わなければ、言葉が持つ力を感じる機会はそんなになかったかもしれない。

 

言葉を扱う仕事、といえばアナウンサーもその一つ。新人アナウンサーがまず感じるのは「言葉の重み」だ。自分が放つ言葉のひとつひとつが、放送を通じ強い影響力を帯びてしまうプレッシャー。言葉を話すのが怖く、嫌になるくらいだが、それを乗り越えなければ仕事にならない。そのときの苦悩を思い出させてくれる。

 

政治家が、スピーチライターが書いた原稿で演説するのは「ズルい!」と思う人もいるだろう。感動する言葉さえ並べておけば、人の心など簡単に動かせると思われていると思うと、馬鹿にされていると感じてしまう。

 

しかし、人の熱い思いが言葉となって人に伝わるとき、心を揺り動かすことは確かだ。本当に大事なのは「思い」。それは言葉がないと伝わらない。

 

言葉を扱う仕事をする者にとって、涙ぐむ場面が多々ある作品。言葉で胸が熱くなる感覚を、ぜひ味わってほしい。思わずWOWOWも、契約してしまった。

 

(局アナnet代表 小田恵子)

 

『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫)

 

【1/13六本木ヒルズで行われたドラマ第1回試写会のときの1枚】

 

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